正しく見える化できていますか?

  • 見える化

最近では、生産の現場だけではなく営業活動や経営状態についても「見える化」の必要性が訴えられています。

しかし、実際には正しい「見える化」ができていない企業が少なくないようです。

このような現状を生み出している原因として、多くの現場で「見える化」ではなく、ただの「可視化」となっていることが挙げられるでしょう。

2つの言葉の違いについて知っておかなければ、正しい運用ができないどころか、もしかしたら逆効果になってしまう可能性も考えられます。

そこで、今回は「見える化」と「可視化」の違いについて解説していきます。

また、そもそもなぜ「見える化」を実施した方が良いのかについても説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。

可視化とは

可視化とは、本来見えないはずのものを見える状態にすることです。

「見えないはずのもの」と言っても、そう難しく考えるようなことではありません。

たとえば、自分が頭の中で考えていたことを黒板に書き写したとしましょう。

これが「可視化」です。

本来であれば誰の目に触れることもなかった自分のアイデアが、黒板に言葉として書くことで可視化されたという例です。

「タスクの可視化」と言われたら、抱えたタスクを付箋やTodoリストに記すことを指すでしょう。

また、仕事の例としては営業担当者の実績が挙げられます。

営業担当のAさんが一ヶ月の間に何件の契約を取ったのかは、実際に数字で「◯件」と表さなければ確認が取れません。

このように本来見えないものを数値、グラフ、文字などで表現することによって視覚での認識を可能とすることを「可視化」と言います。

見える化とは

「見える化」は「可視化」の一部と言っても過言ではありません。

「見えないものを見えるようにする」という部分においては、両者とも同じ意味を有しているためです。

しかし「見える化」は「可視化」にはない大きな特徴があります。

「見える化」には、自分の意思に関係なく目に入れざるを得ないような仕組みが組み込まれているのです。

可視化されたものには「これを見よう」という意思が伴います。

一方の見える化では、「常に見えている状態であること」が重要なのです。

可視化と見える化の違いを一言でまとめると次のようになります。

見える化

・すぐに、いつでも見える状態にあること

・見たくなくても見える状態であること

可視化

・見える状態にできるが、見たい時しか見れない状態であること

たとえば、パソコンに保存された売上推移という可視化された情報は、目で見ることはできますが、パソコンを開かない限り目に入ることはありません。

一方、見える化された状態とは、常に売り上げ推移がオフィス全体へ向けたテレビモニターへ表示されていて、自分の意思に関係なく目に入ってくるという状態です。

何のために見える化を行うのか

「 見える化」を行うことで業務改善がしやすくなったり、人材教育に役立ったりすると考えられます。

「企業活動におけるあらゆる情報を客観的に視覚で認識できるようにすることで、問題の発生を未然に防ぐ、または発生した問題への迅速な対応ができるでしょう。

また、「見える化」するものによっては人によって業務の遅れなどもカバーすることが可能です。

ノウハウなども「見える化」されることにより、ベテランだけでなく新人にも良質なスキルが共有されることとなり、人材教育の助けになるとも考えられます。

何でも見える化すればいいわけではない 

もともと「見える化」はトヨタ自動車株式会社の生産現場で生まれたもの。

トヨタ自動車株式会社には「必要なものを、必要な時に、必要な分だけ」という教えがあるのですが、これは「見える化」にも言えることです。

何でもかんでも見えるようにしてしまうと、人によっては監視されている、またはプライバシーがないと感じるかもしれません。

「見える化」はある程度の型を必要とするため、こういった点でも自由度が減ったと不満を持つ方が現れる可能性も考えられるでしょう。

あれも、それもと手を出すのではなく、目的を明確にしたうえで必要と思われる部分だけ「見える化」を進めるのが適切です。

なんのために「見える化」を行うのか、明確な目的を持ったうえで「見える化」を進めていくことで会社の在り方は改善されると考えられます。

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