要因分析とは?要因解析とは違う?正しい手法で課題を解決
- CSF
ビジネスをする上で何かが起こった場合(それがポジティブなものでもネガティブなものでも)、要因を探るのは大変重要です。ビジネスに限らず私生活でも重要な場合があるかもしれません。
しかし、要因を探る手法がなかなか見つからず苦労している方も多いのではないでしょうか。
今回は要因分析の手法を主に紹介しますので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。
適切な要因を見つけ出すことで、課題解決への道のりが一気に見えてくるでしょう。
関連記事:原因と要因の違いを解説!間違えるとKPIの設定ができなくなる?
INDEX
要因とは
要因とは、物事を発生させる原因になりうる要素の集合のことです。
物事が起こる原因にはさまざまなものがありますが、原因になりうる要素は、物事が起こる直接的なもの以外にも隠れた要素が存在します。それを要因と言います。
要因は、複数の要素が重なっているような状態を指しますので、様々な出来事が絡み合って、なにかの出来事を起こした際に使われる言葉となります。
私生活などでは、ネガティブな使われ方をすることが多いですが、ビジネス上ではポジティブな事にも使える言葉です。
主に要因は、実験現場や事故現場などでよく使われる言葉ですが、企業の成功などについては成功要因という言葉で、細かに説明されたりもします。
関連記事:CSF(重要成功要因)の意味を具体的な例で理解して経営目標を達成しましょう
要因の分析手法
要因分析とは、ある結果に影響を与える要因を特定する手法です。
要因分析の手順は、以下のとおりです。
- 分析対象となる結果を明確にする
- 要因を洗い出す
- 相関関係や因果関係を分析する
- 要因を評価する
分析対象となる結果を明確にする
要因分析を行うには、まず、分析対象となる結果を明確にする必要があります。
分析対象となる結果が明確でないと、要因を洗い出したり、要因の重要度や影響力を評価したりすることが難しくなります。
KPIやCSFの設定にあたっては、分析対象となる結果として、前期(または前月や前日などの過去の期間)に成功した結果を明確にした上で、成功した原因から要因を洗い出すという次のステップに進みます。
関連記事:KPIはCSFをもとに設定しないと意味がない?活用方法を業種別の例で解説
要因を洗い出す
要因を洗い出すには、ブレインストーミングやインタビューなどの方法を用います。
洗い出した要因は、次に、相関関係や因果関係を分析することで、要因の重要度や影響力を評価します。
特に相関関係の分析ではより多くのデータが必要となるため、社員や従業員からなるべく多くの意見を集めることが重要です。
注意点としては、忖度が入ると正しい結果が出ないので、匿名のアンケートにするなどの心理的安全性を担保してあげなければなりません。
相関関係や因果関係を分析する
相関関係とは、2つの変数の間に相互の関連性があることを示すものです。
因果関係とは、1つの変数が別の変数の変化を引き起こすことを示すものです。
要因は結果との間に相関関係があり、原因は結果との間に因果関係があります。
原因は関係者へのヒアリングなどで割と簡単に突き止めることができますが、要因は先述の通り多くのデータが必要です。
相関関係を分析することで、要因の中でも高い重要度や影響力を持つ要素を発見、評価することができます。
要因を評価する
相関関係や因果関係を分析した結果を元に、要因の重要度や影響力を評価します。重要度の高い要因は、対策を講じる優先順位が高いと考えられます。
要因分析と要因解析の違い
要因分析とよく似た言葉で要因解析というものがあります。
要因分析と要因解析は、どちらも問題の原因を特定するための手法ですが、両者には以下の違いがあります。
- 要因分析は、問題の原因になり得る要因を洗い出す手法
- 要因解析は、問題の原因を特定し、その因果関係を明らかにする手法
物事が起こった時に、要因分析では、問題の原因になり得る要因を幅広く検討します。一方で、要因解析では、問題の原因を特定するために、原因と結果の因果関係を分析します。
要因分析では広く問題を捉え、要因解析では問題を深く捉えるイメージです。
具体的な例を挙げると、以下のようになります。
- 要因分析:商品の売上が低い原因を特定するために、商品の価格、品質、マーケティングなど、さまざまな要因を検討する。
- 要因解析:商品の売上が低い原因を特定するために、商品の価格と品質の因果関係、マーケティングと品質の因果関係などをさらに深く分析する。
このように、要因分析と要因解析は、どちらも重要な手法ですが、意味合いや目的が異なります。
一緒にされるケースも少なくありませんが、両者を使い分けることで、より効果的な問題解決につながります。
相関関係の分析手法
相関関係の分析手法とは、2つの変数の間に相互の関連性があることを示す相関関係を分析する手法です。
これを結果と要因と考えられるそれぞれの変数として分析します。
相関関係の分析手法には、以下のようなものがあります。
- 相関係数
- 散布図
- 回帰分析
相関係数
相関係数は、2つの変数の関係性を示す数値です。
相関係数は-1から1までの値を取り、1に近づくほど正の相関(正比例)、-1に近づくほど負の相関(反比例)、0に近づくほど無関係を示します。
-1、もしくは1に近い事柄が重要度の高い要因と言え、Excelやスプレッドシートなどの表計算ツールで簡単に作成できます。
しかし、信頼度が低い場合があります。重決定やp値などまで考慮すると正確なデータ分析ができますが「表計算ソフトで簡単に出せる」というメリットと相反してしまいます。
相関関係の分析手法は、データ分析の最も基本的な手法です。
分析を始める前の何もわからないような状態でも、とりあえず相関関係を分析することで、データの特徴や傾向を理解することができます。
散布図
散布図は、2つの変数の値をそれぞれプロットした図です。
散布図を見ると、2つの変数の間にどのような関係性があるのかを視覚的に把握することができます。
2変数だと相関係数よりも視覚的に簡単に把握できますが、3変数以上を扱う場合にはその数だけ散布図の作成が必要となり、やや手間がかかります。
回帰分析
回帰分析は、2つの変数の関係性を数式で表す手法です。
回帰分析を行うことで、2つの変数の関係性をより正確に把握することができます。
統計に基づく擬似的な数式とはいえ、データの量が多いほど数式の精度が上がるため、未来の予測にも使える便利な手法です。
変数の数が増えても重回帰分析を行えばいいだけなので最も分析に向いている手法といえますが、数的な理解度が低い方への説明が難しいというデメリットがあります。
関連記事:KGIの数値化ができない?設定の注意点やコツをおさらい
まとめ
要因分析は、問題解決や意思決定に役立つ手法です。要因分析を行うことで、問題の原因を特定したり、最適な意思決定を下したりすることができます。
要因分析を行う際には、以下の点に注意が必要です。
- 要因を洗い出す際には、多角的な視点で考えることが重要
- 相関関係や因果関係を分析する際には、統計的な手法を用いて、正確な評価を行うことが重要
CSF自体は数値化する必要はないですが、KGIやKPIは数値化して定量的に見る必要がありますので、数的なアプローチはどうしても必要なのです。
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