企業経営「見える化」で変わる?伸び悩む中小企業に必要な3つのポイント
- KPI
企業経営において「見える化」ができているかどうかは業績に大きな影響を与えると言われています。
一方で中小企業では、日々の業務に追われてしまい必要な見える化に手が回らない状況に悩む企業も多くあります。
この状態では、業績の改善政策が行き当たりばったりになる、従業員のモチベーションの低下など、悪循環に陥る可能性が高くなります。
企業経営に欠かすことができない見える化の項目のうち「最低限行っておきたい3つのポイント」は以下のようなものです。
- 経営ビジョンの見える化
- ロードマップの見える化
- KPI・KGI・CSFの見える化
そこで今回は、上記3項目について説明をしていきますので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。
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INDEX
経営ビジョンの見える化
経営ビジョンの見える化は、企業の将来像を具体的に描き、それを組織内で共有するプロセスです。
このプロセスにより、経営陣と従業員が同じ目標に向かって努力することが可能となります。
見える化は、目標達成のための具体的な指針を提供し、組織全体のモチベーション向上にも寄与します。
見える化の手法
具体的な見える化の手法としては、以下の3つがあります。
- ビジョンステートメントの作成
- インフォグラフィックの活用
- 定期的なコミュニケーション
ビジョンステートメントの作成
経営ビジョンを明文化する最初のステップは、ビジョンステートメントを作成することです。
ビジョンステートメントとは、企業が将来に向けて目指す姿を、簡潔かつ明確に表現したものです。
ミッションステートメントが「何をするか」を定義するのに対し、ビジョンステートメントは「どうなりたいか」を定義します。
ビジョンステートメントは、企業の経営理念やコーポレートカルチャーを反映したものであり、社員の行動指針や意思決定の基準として機能します。
また、顧客や取引先、投資家など、ステークホルダーとのコミュニケーションにおいても重要な役割を果たします。
これは、企業の目指すべき未来像や目標を簡潔に述べたものであり、全社員が理解しやすい言葉で表現されます。
ビジョンステートメントの例としては、以下のようなものが挙げられます。
- Apple:世界で最も愛される製品とサービスを創造し、すべての人をより豊かな生活を送れるようにする
- Google:世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできるようにする
- SONY:感動を創造し、世界を感動で満たす
ビジョンステートメントを効果的に作成するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 具体的で実現可能な目標を設定すること
- 差別化された特徴を盛り込むこと
- 社員やステークホルダーの共感を得られる内容にすること
ビジョンステートメントは、企業の将来を切り開くための羅針盤となるものです。
しっかりとしたビジョンステートメントを作成できれば、社員やステークホルダーと共有することで、企業の成長と発展を実現することができるでしょう。
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インフォグラフィックの活用
インフォグラフィックとは、情報やデータ、知識を視覚的に表現したもののことです。
図や表、イラスト、アイコン、写真などを用いることで、複雑な情報をわかりやすく、印象的に伝えることができます。
インフォグラフィックは、複雑な情報を直感的に理解しやすくするため、経営ビジョンの伝達に非常に有効です。
インフォグラフィックの主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 情報やデータの理解を促進する
- 視覚的に記憶に残りやすい
- 興味や関心を喚起する
インフォグラフィックを作成するには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 伝えたい情報やデータの目的を明確にする
- ターゲットとなる読者や視聴者を想定する
- 情報やデータをわかりやすく整理する
- 視覚的に効果的なデザインにする
インフォグラフィックの代表的な種類としては、以下のようなものが挙げられます。また、これらの種類を組み合わせて作成することもできます。
- チャートやグラフ:データを視覚的に表現する
- 地図や図解:空間的な情報をわかりやすく表現する
- イラストやアイコン:情報をわかりやすくイメージ化するために用いられる
- 写真:現実の様子や事象をそのまま伝えるために用いられる
インフォグラフィックは、情報をわかりやすく伝えるために効果的なツールです。
定期的なコミュニケーション
経営ビジョンの見える化において、定期的なコミュニケーションは、以下の3つの点で役立ちます。
- 経営ビジョンの浸透を促進する
- 経営ビジョンの実現に向けた取り組みを促す
- 経営ビジョンの進捗状況の見える化となる
経営ビジョンの浸透を促進する
経営ビジョンは、企業の将来の方向性を示したものであり、社員一人ひとりが共有することが重要です。
定期的なコミュニケーションを通じ、経営ビジョンを繰り返し伝えることで、社員の理解を深め、浸透を促進することができます。
経営ビジョンの実現に向けた取り組みを促す
経営ビジョンを実現するためには、社員一人ひとりが自らの役割を理解し、具体的な取り組みを進めることが重要です。
定期的なコミュニケーションを通じて、経営ビジョンの実現に向けた取り組みを共有することで、社員のモチベーションを高め、取り組みを促すことができます。
経営ビジョンの進捗状況の見える化となる
経営ビジョンの実現に向けては、定期的に進捗状況を把握し、必要に応じて軌道修正を行うことが重要です。
定期的なコミュニケーションを通じて、経営ビジョンの進捗状況を可視化することで、経営層と社員の間で認識を共有し、適切な意思決定を行うことができます。
具体的には、以下のようなコミュニケーションを実施するとよいでしょう。
- 経営層による全社員への定期的なビジョン共有
- 経営ビジョンに関する社内研修や勉強会
- 経営ビジョンに基づく目標設定や評価制度の導入
- 経営ビジョンに関する社内報やイントラネットの活用
また、経営ビジョンを視覚的にわかりやすく表現したインフォグラフィックを用いることで、経営ビジョンの全体像を簡単に理解することができ、社員の共感や理解を促進することができます。
これにより、ビジョンに対する理解を深め、組織内での共有を促進します。
関連記事:KPIをツールで分析するメリットと外せないポイントについて
見える化における課題と解決策
しかし、経営ビジョンの見える化には課題があります。
同時に解決策もありますので、紹介します。
関連記事:見える化はダサい?意味ない?気持ち悪い?
コミュニケーションの障壁
経営ビジョンの共有には、従業員間のコミュニケーションの障壁が課題となります。これを解決するためには、社内の多様なコミュニケーションチャネルを活用し、従業員がビジョンについて話し合いやすい環境を作ることが重要です。
この時にトップダウンになっていたりすると逆効果となりますので、注意が必要です。
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定期的なレビューの必要性
経営環境の変化に応じて、ビジョンの内容も時には更新する必要がありますが、このためには、ビジョンに関する定期的な評価が不可欠です。
評価を通じて、ビジョンを現状に合わせて適宜調整することが求められます。
従業員の意識向上
見える化されたビジョンに対して、従業員が積極的に関与するためには、その意識の向上が必要です。
研修やワークショップを通じて、従業員にビジョンの重要性を理解してもらい、積極的な参加を促すことが効果的です。
ロードマップの見える化
ロードマップとは、ビジョンを達成するために通るべき道のことをさします。
最終目標であるビジョンを達成するまでにどのようなステップを踏んでいくのか、現在地はどこなのかを知るために見える化するものがロードマップです。
経営ロードマップの見える化は、企業の長期的な目標と短期的な戦略を明確にし、その進捗を可視化する手法です。
このプロセスを通じて、組織全体が一致団結し、共通の目標に向かって効果的に動くことが可能になります。
逆に言えば、今現在行なっている作業はそのロードマップの一部分であることを上手く認識させることができなければ、社員がやる気を見いだせない状態になりかねません。
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見える化におけるロードマップ活用の手順
見える化におけるロードマップを活用するためには、以下の手順をループさせる必要があります。
- ロードマップの作成
- タイムラインの使用
- レビューとフィードバック
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ロードマップの作成
経営ロードマップを作成する際には、企業の長期的なビジョンから始め、それを実現するための段階的な計画を立てます。
この計画には、具体的な目標、期限、担当者を明記し、全員が理解しやすい形で表現します。
タイムラインの使用
タイムラインを用いて、各目標の達成予定時期や進捗状況を示します。
これにより、目標に対する期限の意識が高まり、計画に沿った行動が促されます。
レビューとフィードバック
定期的なレビューを行い、ロードマップの進捗状況を評価します。
また、従業員からのフィードバックを受け入れ、必要に応じてロードマップを調整します。
見える化におけるロードマップの注意点
ロードマップにも経営ビジョンの見える化と同様に注意点があります。
以下のようなものです。
- 目標を明確にする
- 定期的に更新する
- 全員の参加とコミットメント
目標を明確にする
ロードマップ上の目標は具体的かつ達成可能でなければなりません。
曖昧な目標設定は、従業員の混乱を招く原因となります。
定期的に更新する
市場環境の変化や内部状況の変動に応じて、ロードマップは柔軟に更新する必要があります。
定期的な見直しを行うことで、常に最適な計画を維持することが重要です。
全員の参加とコミットメント
ロードマップの成功は、組織全員の参加とコミットメントが要因となります。
そのため、ロードマップに対する理解と共感を促進するためのコミュニケーションが不可欠です。
KPI・KGI・CSFの見える化
組織の目標達成を効果的に管理するためには、KPI(重要業績評価指標)、KGI(重要目標達成指標)、CSF(重要成功要因)を理解し、これらを適切に設定することが不可欠です。
KPIは具体的な業績測定の指標、KGIは目標達成のための指標、CSFは目標達成のために必要な要因を指します。
関連記事:KPI(重要業績評価指標)とは?KGI・CSF(KSF)との違いや意味・設定方法を解説
KPI・KGI・CSFの見える化の意義
ここでは、KPI・KGI・CSFの具体的な意義を解説します。
主に以下の2点です。
- 目標達成の進捗管理
- 組織内コミュニケーションの促進
目標達成の進捗管理
KPI、KGI、CSFを見える化することで、目標達成に向けた進捗状況を明確に把握できます。このことで、計画の修正や改善策の迅速な実施が可能となります。
組織内コミュニケーションの促進
これらの指標を全員が見ることができる形にすることで、組織内のコミュニケーションが活性化します。
共通の目標認識が生まれ、チームワークの向上にも繋がります。
見える化の手法
見える化の主な手法としては以下の3つの手順があります。
- ダッシュボードツールの活用
- ゴールの設定と共有
- 定期的なレビューとフィードバック
ダッシュボードツールの活用
KPI、KGI、CSFをダッシュボード上で一覧表示し、リアルタイムでの更新を行います。
これにより、組織のメンバーがいつでも現状を確認でき、迅速な意思決定が可能になります。
更新が面倒だと形骸化するのでボタン1つで可能とするなど、簡単な作りである必要があります。
ゴールの設定と共有
明確なゴールを設定し、それを組織内で共有します。
目標を視覚的に表現することで、その重要性や緊急性が伝わりやすくなります。
上記のダッシュボードとなるツールと同一の画面だとさらに効果が上がります。
定期的なレビューとフィードバック
定期的なレビューを実施し、KPIやKGIの達成状況を評価します。
また、フィードバックは柔軟に受け入れ、必要に応じて指標を調整することも重要です。
KPI・KGI・CSFの見える化の際の注意点
やはりKPI・KGI・CSFでも注意点は存在します。
面倒と思われるかもしれませんが、注意点を意識していないと逆効果となる可能性もあります。
主に注意する点は以下の3点です。
- 指標の適切な設定
- データの正確性
- 柔軟な対応
指標の適切な設定
KPIやKGIは、現実的かつ達成可能なものでなければなりません。高すぎる目標は従業員のモチベーションを下げる原因となります。
データの正確性
データの正確性を確保することが重要です。
誤ったデータに基づく意思決定は、組織全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
柔軟な対応
市場環境の変化や内部状況の変動に柔軟に対応し、KPIやKGIを適宜更新する必要があります。
定期的な見直しを行うことで、常に最適な計画を維持することが重要です。
重要なのは社員全員が企業の状況を見ている事
KPI、KGI、CSFの見える化は、組織の目標達成に向けた強力なツールです。
これらの指標を効果的に管理し、組織全体で共有することで、目標達成への道筋が明確になります。
また、経営ビジョンやロードマップがあったとしても、絵に描いた餅になっていては意味がありません。
日々の業務の中で「目標の達成にはどの様な行動を、どれだけ行う必要があるのか、現在はどの程度行うことができているのか」を毎日確認できる必要があります。
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