KPIの設定におけるCSFの意味・役割とは?KGIを達成する手法も紹介
- CSF
会社の経営においてKPI(Key Performance Indicator)は重要視されているものの、CSF(Critical Success Factors)という、企業が目標を達成するために必要な重要な要素をもとに設定しなければなりません。
しかしCSFは、KPIに比べると知名度も低く、KPIと同等に重要視している会社は少ないのではないでしょうか?
今回は、KPIの設定におけるCSFの意味とKGI(Key Goal Indicator)達成への手法を解説しますので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。
KPIとCSF、そしてKPIが綺麗な関係になると日常の業務を卒なく行なうだけで企業全体の目標も達成できます。
関連記事:KPI(重要業績評価指標)とは?KGI・CSF(KSF)との違いや意味・設定方法を解説
INDEX
KPIとは
KPIとは「Key Performance Indicator」の略であり、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれます。
KPIは個人個人の目標、もしくは部署や少人数のチームでの目標であり、以下の条件を満たす必要があります。
- 定量的で数値化できること
- 達成可能であること
- タイムリーに測定できること
- 関係者全員が理解していること
このKPIですが、どのように設定していますか?
実は上の4つの要件を満たしていないと、KPIの意味合いが薄れていきます。
- 数値化できなければ、目標の達成度合いがわかりません。
- 最初から達成が不可能であれば、何が悪かったのかがわかりません。
- タイムリーに測定できなければ、日々の達成度がわかりません。
- 関係者全員が理解できなければ、誰がどの指標に向かって行動をしているかがわかりません。
このように「わからない」ということに関して敏感にならなければなりません。
関連記事:KPIとは?意味と設定方法、具体例を紹介
KGIとは
KGIとは、「Key Goal Indicator」の略であり、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれます。
個人の目標ではなく、企業や組織全体の目標です。
KPIと同じように以下の要件を満たす必要があります。
- 組織の経営戦略と一致していること
- 達成可能であること
- 定量的で数値化できること
- 定期的にKGIを分析できること
- 社員全員が理解していること
「組織の経営戦略と一致していること」以外は全て、KPIと通ずるところがあります。
会社全体の目標となるので、経営戦略と一致する必要がありますが、それ以外はほぼKPIの満たすべき要件と一緒です。
関連記事:KPIとKGIの見える化が経営に欠かせないたった1つの理由
KPIの設定方法
KPIの設定にあたり、まずはKGIを設定します。
その際に、前期や前月などのデータを見て、成功した要因があるはずです。
この「成功した要因」こそがCSFなのです。
関連記事:CSFとは?意味を具体例で理解して経営目標を達成しましょう
CSFを元にKPIを設定
CSFは前期や前月などで成功した要因でした。
ということは、CSFを元にした目標を設定すれば、前期と同じ成功ができます。
このことを、先ほどの4つの要件を満たした形で設定すれば、良いKPIとなります。
- 定量的で数値化できること
- 達成可能であること
- タイムリーに測定できること
- 関係者全員が理解していること
KGIにあってKPIにないもの
KPIの設定にあたり満たすべき4つの要件は、
- 定量的で数値化できること
- 達成可能であること
- タイムリーに測定できること
- 関係者全員が理解していること
でした。
またKGIが満たすべき5つの要件は、
- 組織の経営戦略と一致していること
- 達成可能であること
- 定量的で数値化できること
- 定期的にKGIを分析できること
- 社員全員が理解していること
でした。
KPIとKGI、どちらもほぼ同じような要件を満たす必要があります。
しかし、KGIは5つ、KPIは4つ。なんかしっくりこないような気がします。
KGIにあってKPIにないものは「組織の経営戦略と一致していること」です。
これがCSFだとしたらどうでしょうか。
もともと、CSFは前期のKGIを達成するにあたり重要な要因でした。
これをKPIに当てはめるとどうでしょう。
KPIの満たすべき要件が
- 組織目標を達成する内容(CSF)と一致していること
- 定量的で数値化できること
- 達成可能であること
- タイムリーに測定できること
- 関係者全員が理解していること
KGIは「大規模な組織の目標」とKPIが「個人や小規模のチームでの目標」なので、丸ごと一致とまではいきませんが、割とピッタリ合います。
このようにCSFを割り出して、KPIに関連づけることで、KPIがKGIの目標達成のための指針となるのです。
もし、そうでないKPIを無闇に設定してしまうと、社員が達成すべき目標が増え、ストレスの要因となります。
関連記事:KPIはCSFをもとに設定しないと意味がない?活用方法を業種別の例で解説
KPIは常に把握を
このように理論に裏付けられたKPIをクリアしていくことは、効率的なKGIの達成方法となります。
そのため、KPIは常に把握しておく必要があります。
しかし、把握することに追われてしまうと元も子もありません。
そのためにKPI管理ツールを導入するのはいかがでしょうか。
この機会にぜひ、ご検討なさってみてはいかがでしょうか?
KPIの具体例
とはいえ、KPIの具体例がないとピンとこないかもしれません。
具体例をいくつか紹介しますので、ご参考になさって下さい。
なお今回は、KPIはKGI、CSFを元に設定しないといけませんので、KGI、CSFは決まっているものとします。
事例1: IT企業におけるKPI設定
- KGI: 年間売上10億円の達成
- CSF: 新技術の開発と導入スピード
この場合、KGIが年間売上高と非常によくわかりやすい設定をされています。
その重要成功要因CSFが新技術の開発、導入スピードの速さだったのであれば、そこを強化するようなKPIが必要です。
開発部では、開発したばかりの新技術のブラッシュアップを目標にしたらいいと考えられますので、KPIとして考えられるのは「1ヶ月に1人1つ改善点を見つける」「1四半期に1人1つ、API連携をしたサービスの展開アイデアを出す」などか考えられます。
新技術だからと言って開発に携わらない部署が関係ない訳ではありません。
- 営業部では、導入したばかりの新技術を「1ヶ月に1人1事業所にサービスを契約してもらう」「1四半期に1人1件、既存顧客にサービスを使ってもらいアップセルに繋げる」
- 広報部では、導入した新技術がバージョンアップした時に「SNSで告知し、1投稿あたり1,000件のインプレッションを獲得」
など色々考えられます。
事例2: 小売業界におけるKPI設定
- KGI: 顧客満足度アンケートでの回答スコアの向上
- CSF: 店舗スタッフの対応品質
このケースではKGIをやや強引に設定している分少し難しいですが、店舗スタッフの対応が良かった結果成功したのであればKGIはこのようなものになります。
考えられるKPIとしては、以下のようなものがあります。
- 店舗では「顧客満足度調査結果の回答率を50%以上にする」ことや「1ヶ月に1人1回より良くするためのアイデアの提案」
- マーケティング部では「リピート顧客率のモニタリングを毎日1回行なう」「顧客属性から新商品のアイデアを1人1つ提案する」
以下の要件さえ満たせば、KGI達成のための目標からは大きく外れません。
- 組織目標を達成する内容(CSF)と一致していること
- 定量的で数値化できること
- 達成可能であること
- タイムリーに測定できること
- 関係者全員が理解していること
関連記事:KPI(重要業績指標)の重要性とは?効果的な指標設定のポイント
KPIの課題と解決策
しかし、KPIの設定と管理には課題が存在します。
端的に言えば何度も言いますが、下記の条件を満たしていない場合です。
- 組織目標を達成する内容(CSF)と一致していること
- 定量的で数値化できること
- 達成可能であること
- タイムリーに測定できること
- 関係者全員が理解していること
これらの満たさないという課題を克服するためには、KPIの設定にあたり、全従業員が参加し、フィードバックを行うことが重要です。
また、KPIは定期的に見直しを行い、市場の変化や組織の成長に応じて調整する必要があります。
その際に、従業員からの忖度のないフィードバックが行えないと意味がないばかりか、無駄に召集されたと思わせてしまうことに注意しましょう。
双方向コミュニケーションである必要があります。
関連記事:報連相は古い!時代遅れ!日本だけ!本当の意味でなければ必要ない!
うまくいっている時のKPIの考え方
KPIの成功させるためには、組織が持っている文化にも大きく依存します。
もし、組織の雰囲気がよく、目標達成に向けたモチベーションがすでに高い場合には、KPIでは満足できない組織体制になっている可能性があります。
そのままでも成長の見込みがありますが、さらなる飛躍のためにOKR(目標と主要な結果)という考え方も取り入れてみてはいかがでしょうか。
いきなり変更するのは不安かもしれませんが、徐々に移行もできますし、OKRでもKPI的な要素を併用することができるので、ご参考になれば幸いです。
関連記事:OKRとは?KPIやMBOとの違い、目標設定の具体例も解説
KPIを長期的なものにする方法
KPIは短期的な目標達成に重点を置くことが多いですが、長期的な視点を持つことも重要です。
企業の持続可能な成長を目指すためには、短期的な業績向上だけでなく、従業員のスキル向上や顧客との良好な関係構築など、長期的な目標にも注目する必要があります。
そのためには、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、短いスパンで改善を繰り返す必要があります。
よく言われるPDCAサイクルではなく、OODAループという考え方を取り入れることで改善を繰り返し続けることが可能です。
KGIとCSFを元に熟考したとしてもKPIが適切ではなかったということも往々にして起こりうるためです。
関連記事:PDCAサイクルは古い!時代遅れ!KPI設定の代わりになるものはOODA(ウーダ)ループ?
まとめ
KPIの効果的な設定は、企業の成功に不可欠です。
KGIとCSFを基にしたKPIの設定は、目標達成の道をより明確にし、組織全体の動機付けと成果の最大化に貢献します。
KPIは単なる数値ではなく、企業の目指す方向性と成長を示すバロメーターであると言えるでしょう。
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