KPIの分解の際に気をつけるべきことを2つ。それはSMARTの法則とロジックツリー

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組織が目標を設定し、それを達成するためのプロセスを管理する上で、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は極めて重要な役割を果たします。

効率的かつ効果的なKPIの設定と管理は、組織全体へ直接的に影響を及ぼします。

この記事では、KPIを分解する際に特に重要な2つのアプローチ、すなわちSMARTの法則とロジックツリーについて詳細に解説しますので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。

KPIの理解が深まれば、組織全体の方向性が全員一致し、より効率的にKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を達成できるでしょう。

関連記事:KPI(重要業績評価指標)とは?KGI・CSF(KSF)との違いや意味・設定方法を解説

SMARTの法則によるKPIの設定

KPIの分解女子。モデル:河村友歌

SMARTの法則は、目標設定のための有名なフレームワークで、実現可能で意味のある目標を設定することができます。
KPIの設定においても例外ではありません。

SMARTは以下の5つの基準を指します。

  • 具体的(Specific):目標は明確で具体的であること
  • 測定可能(Measurable):進捗を測定することができること
  • 達成可能(Achievable):目標は現実的で達成可能であること
  • 関連性(Relevant):目標は組織の全体的な目標や戦略と関連していること
  • 期限のある(Time-bound):目標達成のための具体的な期限を設定すること

これらの条件を満たすことが目標設定にあたり不可欠です。

関連記事:SMARTの法則とは?目標設定のポイントをわかりやすく解説!

具体的な目標の重要性

具体性は「目標が曖昧でなく、何を達成すべきかを明確にすること」を意味します。

例えば「顧客満足度を向上させる」という目標よりも「顧客満足度調査でのスコアを90%以上にする」という具体的な目標の方が達成しやすいです。

関連記事:KPI管理は難しい?その原因は多忙か意識の問題か

測定可能性の確保

目標が測定可能であることは、進捗を追跡し、目標が達成されたかどうかを判断するために不可欠です。

測定可能な目標を設定することで、組織は具体的なデータに基づいて意思決定を行うことができます。

関連記事:見える化と可視化の違いとは?わかりやすく解説!

達成可能性の確保

目標は達成可能なものでなければなりません。
目標が高すぎると、落胆してあきらめてしまう可能性があります。

また、目標が低すぎると、モチベーションが維持できず、目標達成に努力しない可能性があります。

あえて達成不可能な目標を掲げるOKR(Objectives and Key Results:目標と主要な結果)という手法もありますが、今回はKPIなので目標の達成可能性は不可欠です。

関連記事:OKRとは?KPIやMBOとの違い、目標設定の具体例も解説

関連性のある目標の重要性

目標は、個人の価値観や全体的な目標と関連している必要があります。

関連性のない目標を設定すると、目標達成への意欲が湧かずに、モチベーションが維持できない可能性があります。

ただの意味のないノルマとなってしまい、過剰なストレスの要因にもなります。

関連記事:KPIはCSFをもとに設定しないと意味がない?活用方法を業種別の例で解説

期限設定の重要性

目標には期限を設ける必要があります。期限を設けることで、目標達成に向けて行動し、進捗状況を追跡することができます。

こちらに関しては、四半期や年月などで区切っている企業が多いのであまり触れません。

ロジックツリーによるKPIの分解

ツリー図

ロジックツリーは、複雑な問題をより小さな部分に分解し、それぞれの要素が全体の目標にどのように貢献するかを視覚的に理解するのに役立ちます。

KPIの分解にロジックツリーを使用することで、組織全体の目標を個人の目標にしたり、個人目標をより管理しやすいサブ目標に細分化することができます。

関連記事:KPIツリーとは?メリットと作り方を解説

ロジックツリーの重要性

ロジックツリーによるKPIの分解は、以下の点で重要です。

  • 目標の明確化: 目標を達成するための具体的なステップを明確にする
  • プロセスの可視化: 目標達成のためのプロセスを一目で理解できる
  • 意思決定の支援: どの活動が目標達成に最も貢献するかを判断

このように見ると、上述したSMARTの法則と通ずる部分が多いことに気づきます。

ロジックツリーの作成方法

ロジックツリーの作成は以下のステップで行います。

  1. 目標の設定:達成したい目標を明確にする
  2. 主要要因の識別:目標達成に必要な主要要因を特定する
  3. サブ要因の分解:主要要因をさらに具体的なサブ要因に分解する
  4. 活動の洗い出し:各サブ要因を達成するために必要な活動を特定する

目標の設定

ここで言う目標とは組織全体の目標となります。KGIと言った方がわかりやすいかもしれませんが、KGIでない場合もあります。

関連記事:KGIとは?KPIやCSFとの違いをわかりやすく解説

主要要因の識別

目標達成のために、前期での重要な成功要因を洗い出します。

ここで出た成功要因は「重要成功要因」、CSF(Critical Success Factor)と言います。

関連記事:CSF(重要成功要因)の意味を具体的な例で理解して経営目標を達成しましょう

サブ要因の分解

ここではCSFをさらに分解したり、重要度を決めたりして整理します。

このことで、効率的にKPIの設定や分解も可能となります。

活動の洗い出し

上記のCSFの分解、整理によって出たやるべき活動こそがKPIになりうるものです。

ここで出た活動の中で、SMARTの法則を体現できそうな目標がKPIとなります。

関連記事:KPIはCSFをもとに設定しないと意味がない?活用方法を業種別の例で解説

事例別の解説

ここでは、事例を交えて解説していきます。

事例1:売上増加の目標

KGI:年間売上を前年比20%増加させる。

  1. 主要要因の識別:新規顧客の獲得、既存顧客の売上増加。
  2. サブ要因の分解
    • 新規顧客の獲得: マーケティングキャンペーンの実施、オンライン広告の強化。
    • 既存顧客の売上増加: リピーター向けプロモーションの展開、顧客満足度の向上。
  3. 活動の洗い出し
    • マーケティングキャンペーン:ターゲット市場の分析、キャンペーンの企画・実施。
    • オンライン広告:広告内容の最適化、広告配信プラットフォームの選定。
  4. KPIの設定
    • キャンペーンの実施を月に1回行う
    • 広告のクリック単価を150円以下にする

事例2:顧客満足度の向上

KGI:顧客満足度を95%に向上させる。

  1. 主要要因の識別:顧客サービスの質の向上、製品品質の向上。
  2. サブ要因の分解
    • 顧客サービスの質の向上:スタッフトレーニングの強化、カスタマーサポートの体制充実。
    • 製品品質の向上:製品開発プロセスの見直し、品質管理基準の厳格化。
  3. 活動の洗い出し
    • スタッフトレーニング:顧客対応スキルの向上研修、製品知識の研修。
    • 品質管理基準:品質管理手順の見直し、不良率の分析と改善策の実施。
  4. KPIの設定
    • スタッフ研修の参加率90%以上
    • 不良率2%以下

あくまで一例ですが、このようにしてKPIを決定していくといいでしょう。

ロジックツリー作成ツール

ここではロジックツリーを作成するにあたり、便利なツールを紹介します。

Canva

ロジックツリー

Canvaはノンデザイナー向けのデザインツールでしたが、機能が充実しすぎていて、ロジックツリーの作成にもおすすめです。

マインドマップ、フロー図、フィッシュボーン図などのテンプレートも充実している上に直感操作で作成可能です。

ChatGPT

顧客満足度を95%に向上させるロジックツリーChatGPT

「AI Diagram」というプラグインで図式にできますが、AIが書くという特性上、実態にそぐわないケースがあります。

ただ、作成にかかる時間や難易度は最も低いと言えます。

VS Code

vscodeのロジックツリー

マークダウンで記述した後にMarkMapというプレビュープラグインで作成可能です。

左側でマークダウンで記述されているものを編集すればいいだけなので、簡単に修正できます。

手書き

データベースと紙ベースを両方するという愚行女子。モデル:本坊実結

昔ながらの手法と言われそうですが、実際に手を動かすことで頭を使います。

現実的な手法を思いつきやすいですが、共同で作りにくいというデメリットがあります。

ただ、追記などは非常に行いやすく、やはり現実に即しているかどうかという観点から見ると最もいいかもしれません。

ロジックツリーのメリット

KPI作成におけるロジックツリー作成のメリットは、一言でいえば「見やすい」につきますが、具体的には大きく以下の4つが挙げられます。

KGI達成までの道筋を明確化できる

ロジックツリーは、KGI達成のために必要な要素を階層的に分解していく手法ですので、KGI達成までの道筋を明確に可視化することができます。

KPI設定の漏れや重複を防げる

ロジックツリーを用いることで、KGI達成に必要な要素を漏れなく洗い出すことができます。

また、各要素の関係性を明確にすることができるため、KPI設定の重複を防ぐこともできます。

つまりMECEな設計に向いています。

関係者間で共通認識を持てる

ロジックツリーは、視覚的にわかりやすいツールです。
そのため、関係者間で共有することで、KGI達成に向けた共通認識を醸成しやすくなります。

目標達成に向けた改善策を検討しやすくなる

ロジックツリーを用いることで、KGI達成までの道筋を明確化し、KPI設定の漏れや重複を防ぐことができます。

このことで、目標達成に向けた改善策を検討しやすくなります。

まとめ

KPIの分解は、組織の目標達成プロセスを強化し、成功に向けた明確な方法を分かりやすく個人の目標として設定します。

SMARTの法則による目標設定とロジックツリーによる目標の分解は、このプロセスを支援する2つの基本的かつ強力な手法です。

これらのアプローチを組み合わせることで、組織は具体的、測定可能、達成可能、関連性があり、時間的に定められた目標を設定し、それらを効果的に管理し、評価することができます。

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