SMARTの法則とは?目標設定のポイントをわかりやすく解説!

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KPIなどの目標設定は、個人の成長や組織の発展において極めて重要な要因です。

その中でも「SMARTの法則」は、効果的な目標設定のためのフレームワークとして広く認知されています。

この記事では、SMARTの法則について解説し、目標設定のポイントを紹介します。
また、実生活やビジネスシーンでの応用方法についても詳細に解説していきますので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。

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SMARTの法則とは

目標設定は大切ですが、あいまいな目標ではモチベーションの維持が難しく、達成したのかも曖昧になりがちです。

そこで重要になるSMARTの法則とは、以下の頭文字をとったものです。

ここでは、各要素をそれぞれ紹介していきます。

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S(Specific:具体的な)

目標は明確かつ具体的である必要があります。

「もっと売り上げを伸ばす」という目標よりも「次の四半期に売り上げを20%増加させる」という具体的な目標の方が達成可能性が高まります。

目標が具体的であればあるほど、取り組みやすくなります。

理想を言えば、

  • 誰が(Who)
  • 何を(What)
  • いつまでに(When)
    ※T(Time-bound:期限のある)の所で設定します
  • どこで(Where)
  • どのように(How)

といった「5W1H」に沿って、詳細を詰めた具体的な記述にすることで、行動がしやすくなります。

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M(Measurable:測定可能な)

目標は、進捗を測定できるような形で設定することが重要です。

これにより、目標達成に向けての進捗状況を確認し、必要に応じて計画を調整することができます。

数値を用いて目標が測定できる状態を目指しましょう。

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A(Achievable:達成可能な)

設定する目標は、現実的で達成可能なものである必要があります。

高すぎる目標はモチベーションを下げる原因にもなり得ます。
目標は、努力次第で達成できるレベルに設定しつつ、多少チャレンジングであることが望ましいとされます。

各々のスキルやリソース、時間などを考慮した上で、達成可能な目標を設定しましょう。

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R(Relevant:関連性のある)

SMARTのRにはRealistic(現実的)の意味も含めるとする考えもありますが、いずれにしても、個人の目標がチーム目標に、さらにチームの目標が会社全体の目標につながるように関連づけて設定することが肝心です。

自分にとって重要なこと、または組織全体の目指す方向性に合致した目標を設定することが、モチベーション維持につながります。

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T(Time-bound:期限のある)

目標には明確な期限を設けることが重要です。期限があることで、計画を立てやすくなり、実行に移すための圧力にもなります。

必ず期限を設定し、さらに必要に応じて中間目標も設定して、定期的に進捗確認をするとなお良いです。

期限内に目標を達成するためには、どのようなステップが必要か、逆算して計画を立てましょう。

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SMARTの法則による目標設定のステップ

上記をまとめると以下のようになります。

  1. 目標の具体化:自分が達成したいことを明確にし、具体的な形で記述します。
  2. 進捗の測定方法を決定:目標達成のための指標や基準を設定します。
  3. 達成可能性の評価:リソースや時間、自身のスキルを考慮し、目標が現実的かどうかを判断します。
  4. 関連性の確認:目標が自分や組織の長期的なビジョンと合致しているかを考えます。
  5. 期限の設定:目標達成のための具体的な計画を作成します。

このステップを踏めば大きく間違うことはありません。

SMARTの法則に基づく目標設定の例

実際に以下の目標をSMARTのそれぞれの項目に当てはめてみましょう。

例えば「今年度の売上を伸ばしたい」というような目標を立てる場合、以下の事に気をつけて設定すると良いでしょう。

  • Specific:今年度の営業部の売上を前年比120%に伸ばしたい
  • Measurable:売上の数値で達成度合いが一目でわかるような環境を作る
  • Achievable:業界動向などを鑑みると、多少の努力が必要で達成できそうな目標であることを確認する
  • Relevant:目標が会社の売上アップにつながる
  • Time-bound:今年度末を期限と設定する

あくまで一例ですが、現実味を帯びてきました。

SMARTの法則に則った具体例

SMART女子。モデル:河村友歌

ここでは、より踏み込んだ具体例を挙げて説明します。

1.営業担当者が新規顧客獲得数増加したい場合

目標:今期末までに、新規顧客獲得数を前年比20%増加させる。

この目標には以下の要素が含まれています。

  • S(Specific):新規顧客獲得数という具体的な指標を設定
  • M(Measurable):前年比20%増加という数値目標を設定
  • A(Achievable):適切な営業戦略と努力によって達成可能な目標
  • R(Relevant):会社の売上目標達成に貢献する目標
  • T(Time-bound):今期末という期限を設定

ここから、目標達成のための行動計画も立てることができます。
以下に一例を挙げます。

  • ターゲット市場を明確化
  • 効果的な営業戦略を策定
  • 顧客ニーズに合わせた提案を行う
  • 定期的に進捗状況を測定し、必要に応じて計画を修正

2.マーケティング担当者がWebサイト訪問者数を増加させたい場合

目標:今年12月までのWebサイト訪問者数を前年比150%増加させる

  • S(Specific):Webサイト訪問者数という具体的な指標を設定
  • M(Measurable):前年比150%増加という数値目標を設定
  • A(Achievable):適切な戦略によって達成可能な目標
  • R(Relevant):会社の認知拡大を通じて売上に貢献する目標
  • T(Time-bound):12月という期限を設定

ここから行動計画を立てることも可能です。

  • SEO対策やリスティング広告など、効果的な施策を組み合わせる
  • 訪問者の属性や行動パターンを分析し、効果的な施策を検討する
  • 日別に訪問ユーザ数を確認し、必要に応じて計画を調整する

3.学生が英語力を向上させたい場合

ビジネスだけでなく、学力向上などにも適用可能です。

目標: 2025年6月までに、TOEICスコアを600点から700点に上げる。

  • S(Specific):TOEICスコアという具体的な指標を設定
  • M(Measurable):600点から700点という数値目標を設定
  • A(Achievable):適切な学習方法と努力によって達成可能な目標
  • R(Relevant):将来の就職活動に役立つ目標
  • T(Time-bound):2025年6月という期限を設定

ここから考えられる行動計画としては以下のようなものがあります。

  • 毎日1時間英語学習を行う
  • オンライン英会話レッスンを受講
  • 英語学習アプリを活用
  • 定期的に模擬試験を受け、進捗状況を測定

このように、ビジネスの世界を超えても通用する法則なのです。

SMARTの法則は時代遅れ?

SMART女子。モデル:河村友歌

目標設定の際に推奨されているSMARTの法則ですが、現代の変化の速い社会では、この法則に対する疑問の声も上がっています。

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SMARTの法則が時代遅れと言われる原因

具体的には、以下のような理由で時代遅れと言われています。

変化の速さへの対応が困難

現代社会は変化が激しく、長期的な計画を立てること自体が難しい場合があります。

SMARTの法則は、比較的安定した環境での目標設定には適していますが、急速な変化に対しては柔軟性に欠けると指摘されています。

Tの期限を守りすぎることが仇となっているケースが多いようです。

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創造性や柔軟性がない

SMARTの法則は非常に構造化された手法ですが、この厳格さが創造性や柔軟性を制限するとの意見もあります。

特に、新しいアイデアやイノベーションを求める場合、SMARTの枠組みがハードルとなることがあります。

こういった場合に効果的なのは、双方向のコミュニケーションです。

いわゆる「報連相」などの形式張らない状況の共有が思いもよらないアイデアを生む場合があります。

関連記事:報連相は古い!時代遅れ!日本だけ!本当の意味でなければ必要ない!

過度の目標達成への圧力

達成可能(Achievable)という要素は、現実的な目標を設定することの重要性を強調します。

しかしこのことが逆に過度に目標設定を促すことになり、挑戦的な目標を設定することを妨げると考えられています。

こういった場合にはOKRという目標管理手法が参考になります。

関連記事:OKRとは?KPIやMBOとの違い、目標設定の具体例も解説

SMARTの法則の時代遅れ感には適応できる

SMARTの法則が時代遅れという批判は確かにありますが、その本質は現代においてもあまり変わりません。

重要なのは、この法則を機械的に適用するのではなく、現代の環境に合わせて柔軟に応用し、創造性や挑戦的な目標も取り入れることです。

SMARTの法則を賢く活用することで、効果的な目標設定とその達成に大きく貢献することができるでしょう。

まとめ

SMART女子。モデル:河村友歌

SMARTの法則を活用すると、漠然とした目標をより具体的、かつ実現可能にすることができます。

また、SMARTの法則は目標設定時だけ有効なのではなく、定期的な進捗確認や目標達成後の振り返りに際しても、達成度を判断したり、必要に応じて軌道修正したりするのに役立ちます。

ぜひ、SMARTの法則を日々の業務や目標設定に活用してみてください。

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