KPIはCSFをもとに設定しないと意味がない?活用方法を業種別の例で解説

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現在、多くの企業で設定されている「KPI(重要業績評価指標)」ですが、その目的を見失っている例も散見されます。

あなたの会社は、KPIの設定はどのようにされているのか従業員は理解をしているでしょうか?
もしくは経営層も憶測でKPIを設定しているかもしれません。
意味をわかっていないのになんとなくKPIという言葉を使っている従業員がいる可能性だってあります。

今回は、適切なKPIの設定の方法を、考えられる事例を元に解説しますのでぜひ最後まで読んでご参考にしてください。

意味のないKPIを設定しすると、経営不振に陥るだけでなく、振り回された従業員からの反発まで引き起こす可能性もありますので注意して取り組みましょう。

関連記事:KPI(重要業績評価指標)とは?KGI・CSF(KSF)との違いや意味・設定方法を解説

KPIの意味

そもそも「KPI(重要業績評価指標)」とは、企業や組織の目標(KGI:重要目標達成指標)を達成するために、個人もしくは小規模のチームにあてられた目標のことです。

それを理解していないまま部下や従業員に押し付けるとさまざまなリスクやデメリットがありますので、簡単に振り返りましょう。

関連記事:KPIとは?意味と設定方法、具体例を紹介

KPIの設定時に守るべきこと

KPIは「企業の目標を達成するために必要な指標」であることを前提に以下のことを考慮して設定する必要があります。

  • 定量的である(数値化できる)
  • 達成可能である
  • タイムリーに測定できる
  • 関係者全員が理解できる

これらのことを守らなければ意味のないKPIになってしまいます。

常に進捗状況を把握していないといけないので、数値化できる定量的な目標である必要があります。
タイムリーに毎日、もしくは毎時毎分毎秒把握し測定し続けなければならないためです。

関連記事:目標管理と設定例!うまくいかないときは数値ベースで考えよう

無意味なKPI設定によるリスク

CSF、KPIの説明をする画像。モデル:大川竜弥、Lala*

また、従業員や部下の反発をされやすいのが残りの2点、「達成可能である」「関係者全員が理解できる」です。

達成不可能な目標は、ただの理想論であり、それを理解せずに押し付けると従業員の不満がたまります。

そのことにより、仕事に対する意欲がなくなるだけならまだマシで、離職やハラスメント認定される可能性もあるでしょう。

そうなった場合、上長や経営層がその不可能な目標を被ったり訴訟されたりしますが、大丈夫でしょうか?

そのため、「ちょっと頑張れば達成できる」ぐらいの目標が望ましいです。

また、KPI KPIと言いすぎると、達成可能であっても不満は出てきます。
「なんでこんなことやらなければいけないんですか!」と言われた時にしっかりと答えられれば納得してもらえるかもしれませんが、答えることができなければ不満は大きくなります。

そもそも、「なんでこんなことやらなければいけないんですか」と言われること自体が問題です。
経営目標を達成するための指標なのに理解がされていないからです。

ここで「関係者全員が理解できる」ことが重要になってくるのですね。

全体的に発信した後に、定期的にリマインドをして関係者全員が理解できる環境を作らないといけません。
どうしても理解できない社員には、1on1で教育する必要があります。

今の日本では「KPI」という単語自体、雰囲気で広まっているだけで全員がきちんと理解していないような気がするので、もし該当するのならそこも教育する必要があります。

関連記事:KPI・目標設定がストレスで会社を辞めたい社員はいませんか?

KPIの設定手順

CSF、KPIの説明をする画像。モデル:大川竜弥、Lala*

KPIは、以下のような手順で設定します。

まず、企業や組織全体での目標(KGI)を定めます。
この時にすでに達成不可能になっていないか注意が必要です。

達成不可能な目標とならないためには、近い過去に達成した目標を元に設定すると良いでしょう。
なぜなら、「過去に達成した=また達成できる可能性が高い」という図式が成り立つためです。

もちろん時流によっては、以前はできても今は出来そうにないこともあるでしょうが、そういった事柄は目標としては不適切です。

次に、その直近に達成した目標を振り返って、「なぜ成功したのか」を考えます。
色々な要因があると思います。なるべく多くの人の意見を聞くようにしましょう。

そして、成功した要因が出てきたら順位づけを行います。
その時に上にくるものが、「重要成功要因」つまりはCSFとなります。

KPIはそのCSFに沿ったもので、なおかつこの4つの条件を満たしたものに設定します。

  • 定量的である(数値化できる)
  • 達成可能である
  • タイムリーに測定できる
  • 関係者全員が理解できる

「関係者全員が理解できる」に関しては周知の際に行えば良いのですが、他の3つは設定時に注意しておかなければなりません。

「本当に達成可能なのか」は特に忖度されやすいものなので従業員や部下に寄り添ったヒアリングが必要です。

関連記事:KPIとKGIの見える化が経営に欠かせないたった1つの理由

業種別で考えられるCSFや目標の例

企業別に課題を明確にするのは達成不可能な目標なので、業種別に考えられるCSFの具体例を挙げてみます。

関連記事:CSF(重要成功要因)の意味を具体的な例で理解して経営目標を達成しましょう

製造業

  • 生産性:売上に直結する要因なので、多くの企業のCSFとなるかと考えられます。
  • 品質:高品質な商品が強みであれば、品質担保がCSFとなる可能性もあるでしょう。
  • コスト:コストを低減できたことが成功に繋がったのであれば、継続して行うと効果的です。
  • 納期:納期を確実に守ることで成功に繋がったのであれば、重要視すべき項目です。
  • 安全性:逆説的な考えですが、事故のリスクが高ければ安全性の向上に努める必要があります。

小売業

  • 売上:重要なのに間違いはありませんが、安易な設定はNGです。
  • 顧客満足度:QSC(クオリティ、サービス、クリンリネス)などに気を付けることで成功したのであれば、継続して取り組む必要があります。
  • 在庫管理:適正な在庫管理により原価を下げることができたのならそのままKPIに持って行きやすい要因でもあります。
  • ブランド力:ブランドが確立していることが成功要因なら、より認知を広めたり世界観を大事にすることが重要です。

サービス業

  • 顧客満足度:こちらも小売業と同じくQSCなどを目標として設定することで満足度を上げることが可能です。
  • 人材育成:人材育成が上手くいったことで即戦力化に成功したのであれば、目標となるでしょう。

情報技術業

  • 技術力:高い技術力により成功をしたのであれば、そこに注力するべきです。
  • イノベーション:良いイノベーションにより発展したのであれば、また起こるようにイノベーションを起こしやすい雰囲気にする必要があるでしょう。
  • セキュリティ:逆説的な考えですが、セキュリティが弱くて失敗しないように注意し続けることが重要です。

これらのCSFは、あくまでも具体例であり、企業や組織の状況によって異なります。

関連記事:原因と要因の違いを解説!間違えるとKPIの設定ができなくなる?

業界を問わずCSFとなりやすい事柄

業種を問わずにCSFとなりやすいものは、以下のようなものがあります。

  • 売上
  • 利益

売上、利益などは安易に課題として設定できますが、そのために何をすべきか、KPI設定でつまづく可能性が高いので、2番目、3番目のものをCSFとしてKPIを設定した方が良いパターンもあります。

  • 採用
  • 教育

採用も教育も、長い目で見た発展に必要な事柄ではありますが、現場レベルで短期的な利益に走らないようなKPIにする必要があります。

  • コンプライアンス
  • リスク管理

できて当然と思われている分、このような事柄で失敗すると大損害となります。

もしできていなければ、習慣化するまではそれこそ毎日のチェックが必要です。

関連記事:KPIの設定におけるCSFの意味・役割とは?KGIを達成する手法も紹介

まとめ

CSFを特定する際には、企業や組織の戦略、目標、環境などを考慮する必要があります。
その上でKPIの設定をするので、まさにKGIからKPIへの変換器と言っていいほどの存在です。

決して、誤ったKPIを設定しないようにしてください。

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