タレントマネジメントは古いと言わせないためにKPIを適切に設定しましょう
- KPI

企業が持続的に成長するためには、従業員の能力を最大限に引き出し、最適な人材配置を行うタレントマネジメントが重要です。
しかし「タレントマネジメントは古い」と見なされることがあります。その原因の一つは、KPI(重要業績評価指標)の設定が不適切であることです。
今回は、タレントマネジメントの重要性とKPIの適切な設定方法について詳しく解説しますので、ぜひ最後まで読んでご参考になさってください。
適切なタレントマネジメントと適切なKPIにより、従業員のパフォーマンスを極限まで引き上げましょう。
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INDEX
タレントマネジメントとは
タレントマネジメントとは、企業が従業員の能力やスキルを最大限に発揮させるために、戦略的に人材配置や人材育成を行うことを指します。
従業員のデータを一元的に管理し、適材適所の配置や育成計画を立てることを含むことも多くあります。
関連記事:KGI達成のためにタレントマネジメントが重要な理由を解説
タレントマネジメントが古いと言われる理由

タレントマネジメントが古いと言われる理由は、主に以下の3点に集約されます。
多様性を重視していない
従来のタレントマネジメントは、確かに古いです。
従来は、一部のハイパフォーマー(優秀な人材)に焦点を当て、彼らを育成・抜擢することに重点を置いていました。
しかし、現代のビジネス環境では、多様な人材の能力を引き出し、チーム全体のパフォーマンスを向上させることが求められています。
そのため、従来型のタレントマネジメントを想定して、現代のニーズに合致しない部分があると考えられていることがあります。
関連記事:モチベーションが下がるきっかけの一例とKPI達成のための対策を紹介
変化の激しい時代に対応できていない
現代は言うまでもなく、技術革新やグローバル化が進み、ビジネス環境が急速に変化しています。
タレントマネジメントを単なる「適切な人材配置・人材育成」と考えるだけでは、このような変化に対応できる柔軟性を欠いていると言わざるを得ません。
例えば、社員のスキルや能力を定期的に評価するだけでは、変化の激しい時代に求められる能力開発に対応できないでしょう。
関連記事:PDCAサイクルは古い!時代遅れ!KPI設定の代わりになるものはOODA(ウーダ)ループ?
社員のエンゲージメントを考慮していない
上述したように、タレントマネジメントを単なる「適切な人材配置・人材育成」と捉えていると、社員のエンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)が十分に考慮されません。
社員のエンゲージメントを高めるためには、社員一人ひとりのキャリア開発を支援し、成長を実感できる機会を提供することが重要です。
しかし、従来のタレントマネジメントは、このような視点が欠けている場合が多いと考えられています。
関連記事:KGI達成のためにはエンゲージメントサーベイを無駄にしてはいけない
タレントマネジメントにおけるKPIの役割

上に挙げたような理由から、タレントマネジメントは古いという意見がありますが、タレントマネジメント自体が不要になったわけではありません。
タレントマネジメントは、企業の人材戦略を強化し、組織全体のパフォーマンスを向上させるための重要な手法であり、むしろ、現代のビジネス環境に合わせて進化した新しいタレントマネジメントが求められています。
本来のタレントマネジメントは、以下の特徴を備えています。
- 社員のエンゲージメント:社員のエンゲージメントの向上を最重要視
- 全社員を対象とした人材開発:ハイパフォーマーだけでなく、全社員の能力開発
- 深さと広さを考慮した評価:一元的な評価ではなく、スキルの高度さや幅広さなどを考慮
そのためにあえてKPIという手法をとります。
関連記事:OKRとは?KPIやMBOとの違い、目標設定の具体例も解説
KPIとは
KPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)は、組織の目標達成度を測定するための指標です。
これにより、企業は戦略的な目標に対する進捗状況を把握し、必要な改善策を講じることができます。
必ず必要なのは、KPIを定期的に見直し、改善することで効果を最大化することです。
SMARTの法則
タレントマネジメントにおいて、KPIを設定することで、従業員に明確な目標を提示し、達成すべき基準を明確にします。
KPIを設定する際には、以下の要素からなるSMARTの法則を適用することが基本です。
- Specific(具体的):目標は具体的であるべきです。
- Measurable(測定可能):目標達成度を測定できる指標を設定します。
- Achievable(達成可能):現実的な目標を設定します。
- Relevant(関連性):企業の戦略目標に関連する指標を設定します。
- Time-bound(期限付き):達成期限を明確にします。
これが基礎となるのはいいのですが、パーソナライズされたKPIを設定できれば、タレントマネジメントも有効になります。
関連記事:SMARTの法則とは?目標設定のポイントをわかりやすく解説!
タレントマネジメントのKPI
タレントマネジメントにおける具体的なKPIの例をいくつか紹介します。
離職率
離職率が低いことは、従業員の満足度が高いことを示します。
さらに、教育コストがかかりにくくなることから、経営に対する影響度も高い指標と言えます。
昇進率
昇進率が高い場合、企業が効果的に人材を育成していることが示されます。
プレイヤーとしての能力に加え、マネジメントの能力もしっかりとついていることを間接的に示しているためです。
また、マネジメント職には、ワンポジションのスキルではない他の部署との連携スキルも求められます。そのため、あらゆる経験をしていることも示しているとも言えます。
従業員エンゲージメントスコア
従業員のエンゲージメントを測定することで、モチベーションの状態を把握できます。
その時に重要なのが、従業員が忖度するような手法で集計しないことです。本質を見失ってしまいます。
過度な干渉や一方的な報連相の強要ではなく、双方向でしっかりとしたコミュニケーションの中でエンゲージメントを高めているかを測定しましょう。
関連記事:報連相は古い!時代遅れ!日本だけ!本当の意味でなければ必要ない!
パーソナライズドKPI
従業員にKPIを課すのであれば、例えば、どのレベルの達成具合が最も本気を出すのかを考慮する必要があります。
成功体験を積むことでエンゲージメントが高まるのであれば簡単めな目標を多めに、大きなことを達成することに情熱を注ぐタイプであればOKRよりの目標になるでしょう。
関連記事:OKRとは?簡単にわかりやすく解説!
タレントマネジメントの目的・効果
タレントマネジメントの主な目的は、単なる適材適所の人材配置だけではなく、組織の成長を促進するために人事施策を効率化・適正化することです。
具体的には、以下のような効果が期待されます。
適材適所の人材配置で期待される効果

適材適所の人材配置には、企業や組織にとって多くの効果が期待されます。以下に主な効果をまとめます。
生産性の向上
適材適所により、従業員が自身の能力や特性を最大限に発揮できるポジションに配置されるため、生産性が向上します。
コスト削減
適材適所により、教育や研修にかかる時間や労力が削減されます。
既に経験や知見のある従業員を適切に配置することで、教育コストや人件費の削減が可能となります。
業務効率化
適材適所により、業務の流れがスムーズになり、効率的に業務を遂行できるようになります。非効率な作業が減少し、全体的な業務効率が向上します。
組織成長の人事施策で期待される効果

従来の適材適所では、組織のパフォーマンスに重きを置いており、従業員一人一人の能力には注目するものの、エンゲージメントはあまり考えられていません。
結果としてナレッジの属人化や置いてけぼりな従業員の誕生を招き、持続可能な成長に関しては返って逆効果になる可能性があります。
組織成長のためには、従業員の希望や要望と利益追求のリバランスが最重要です。
そこで期待される効果としては、上記の適材適所に加え、追加で以下のような効果が期待されます。
関連記事:ナレッジマネジメント(KM)とは?KPIの設定方法や具体例を紹介
モチベーションの向上
従業員が自分に合った仕事や挑戦したい仕事を任されることで、仕事に対する満足度やモチベーションが向上し、従業員のエンゲージメントが高まり、組織全体の活性化につながります。
関連記事:モチベーションが下がるきっかけの一例とKPI達成のための対策を紹介
組織の活性化
従業員のエンゲージメント向上は、組織全体の活性化にも貢献します。
従業員が組織目線だけでなく当人目線でも適切なポジションで働くことで、前向きな意見交換や積極的なコミュニケーションが促進され、組織の活力が向上します。
メンタルヘルスの改善
従業員のエンゲージメント向上は、ストレスを軽減し、メンタルヘルスの改善にも寄与します。
働き方改革は「ブラック企業」という言葉を抑えることに下手に成功したせいで、従業員がストレスを感じる環境で働くとブラックと感じられる可能性があります。
離職率の低下
従業員のエンゲージメントに重きを置いたマネジメントは、従業員が仕事で悩むことを減らし、結果として離職率の低下に寄与します。
従業員が自分に合った仕事を見つけるように変化していくことで、長期的なキャリア形成が促進されます。
関連記事:KPI・目標設定がストレスで会社を辞めたい社員はいませんか?
まとめ
タレントマネジメントが古いと言わせないためには、適切なKPIを設定し、従業員の能力を最大限に引き出すことが重要です。
組織としてのKPIやパーソナライズされたKPIの設定と継続的な見直しを行うことで、タレントマネジメントの効果を最大化し、企業の競争力を強化することができます。
忖度のない正確なデータに基づいたKPIを用いて、戦略的なタレントマネジメントを実現しましょう。
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